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20120208 食魔
作者: 发表时间:2012-04-03 浏览:1906

 ウナギの蒲(かば)焼きは待つ料理である。良店は客の顔を見てからさばくので、とかく辛抱が試される。芳香に暴れる腹の虫をあやし、前菜や酒の誘惑を退けてこその至福。この鉄則は値を問わない。松竹梅なら〈待つだけうめえ〉と読みたい▼「食魔」の発酵学者、小泉武夫さんは、浅草の店で蒲焼きを待ちきれず、泥酔したことがあるそうだ。「本物の鰻(うなぎ)食いは出てくるまでが楽しみなんだろうな」と悟るも、後の祭り(『畏敬(いけい)の食』講談社)▼40年近く待った、本物のウナギ好きがいる。蒲焼きではなく卵である。東大の塚本勝巳教授(62)らが、グアム島の西でニホンウナギの卵を初めて採取した。1970年代から探し続けた小さな宝石は、たった1日半で孵(かえ)る。だから欧米系の別種を含め、天然の卵を見た者はいなかった▼ウナギの生態は謎めく。研究チームはまず、日本の川を上る稚魚はマリアナ諸島あたりから海流に乗って来る、と突き止める。より若い魚を求めて航海を重ね、虹色に光る粒にたどり着いた▼ウナギは春から夏、新月に近い時期に一斉に産卵するらしい。それが海底山脈上の狭い海域に特定されたことで、稚魚が健やかに育つ条件が見えてくる。卵から成魚にもっていく完全養殖の実用化も早まるだろう▼博識のアリストテレスでさえ「泥中から生じる」と考えたウナギの神秘に、執念の長旅が終止符を打った。一心不乱の歳月は裏切らないものだ。国産ウナギは稚魚の不漁を乗り越え、蒲焼きがさらに身近なごちそうになるかもしれない。待つ甲斐(かい)はある。